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<OBインタビュー>採択者のその後:後編【八嶋 誠さん】
引き続き、令和元年度採択者の八嶋 誠さんにお話を伺います。
前編では4つの事業について伺いました。
それらの取り組みによって実現したいことや今後の構想について教えてください。
これら4つの事業はそれぞれ独立しているようで、実はすべてつながっています。カフェやサウナで地域に人を呼び込み、メディアで魅力を発信し、マーケティングで地元の産業を底上げする。このエコシステムが機能し始めたことで、最近では音楽業界で活躍するプロデューサーや海外からの移住者など、面白いプレイヤーが田沢湖エリアに集まり始めています。
こうした流れの中で、私たちが次の課題として強く意識しているのが、「滞在時間の短さ」です。現在の田沢湖エリアは、夕方になると観光客が引いてしまい、美しい夕日や静かな夜といった魅力を十分に体験してもらえていません。日帰り観光が中心となっている現状を変え、地域により深く関わってもらうためには、滞在時間そのものを伸ばす仕掛けが不可欠だと考えています。
そのための具体的な打ち手として取り組んでいるのが、「宿泊体験のアップデート」です。現在、山間部にある古い民宿とのコラボレーションを進めており、約30年前に建てられた立派なログハウスと、広大な敷地、素晴らしい景観を活かした滞在づくりを構想しています。これまではご高齢の家族だけで運営され、インターネット予約などにも対応できず、「良いものがあるのに知られていない」状態が続いていました。
そこで私たちが経営・運営に入り、デジタル化を支援するとともに、敷地内の小屋をサウナ小屋として改装し、ここでしか味わえない滞在体験をつくろうとしています。夏は湖畔、冬は山のログハウスと、季節ごとに異なる魅力を組み合わせることで、宿泊する必然性を生み出し、通年で楽しめるエリアへと育てていきたいと考えています。
さらに、こうした宿泊拠点を起点に、夜の過ごし方まで含めて提案していくことで、点在する施設や体験をつなぎ、「点」から「面」へと広げていくことを目指しています。ナイトタイムエコノミーを含めた滞在設計を行うことで、日帰り客を宿泊客へと転換し、田沢湖エリアで過ごす時間そのものの価値を高めていきたいと考えています。
アイデアは尽きませんが、これらを実現していくうえで最大の課題は「人材」です。現場を担い、一緒に共に事業を展開していく「仲間」を探しています。このエリアにはまだまだ掘り起こせていないポテンシャルが数多く眠っています。地域にある既存の資産を丁寧に活かし、磨き上げることで、完成度の高い観光地だからこそ停滞しがちな場所に、新しい風を吹き込み続けていきたいと考えています。
時間を経て振り返ると、若チャレはどうでしたか?あなたにとって若チャレはどういった存在ですか?
振り返ると、若チャレは私にビジネスにおける「社会的な信用」を与えてくれた存在でした。私は東京からUターンして起業しましたが、地元出身とはいえ、いきなり帰ってきてビジネスを始めた人間は、周囲から見れば「何者なんだろう」と怪しまれてもおかしくありません。そんな中で、県の採択事業に選ばれたという事実は、地域や関係各所へ説明に行く際の大きな「お墨付き」となりました。この信用があったからこそ、スムーズに滑り出すことができたと感じています。
また、補助金を活用してサウナの本場・フィンランドへ視察に行けたことも、今の事業の核になっています。やはり本物の文化を肌で感じた経験は、お客様に伝える言葉の重みを変えます。全国100箇所以上の施設を巡り、本場を体験したからこそ語れる「サウナトーク」は、私の強みとなりました。単なる資金援助以上に、経験への投資を許容してくれた若チャレのおかげで、説得力のある事業展開ができているのだと思います。
これから若チャレに挑戦する方へメッセージをお願いします
これから挑戦する方へのアドバイスは非常にシンプルで、「まずは事業計画書を書いてみること」に尽きます。頭の中で「やりたい」と思っているだけでは見えない穴が、数字や文字に落とし込むことでリアルに見えてきます。「本当にこれでいけるのか?」と自問自答し、論理的に詰めていく作業は苦しいですが、それが自分を守る一番の優しさにもなります。
私自身、カフェの内装を自分たちで行うなど、工夫次第でスモールスタートは可能だと実証してきました。お金がないからできない、ではなく、計画を練り上げれば道は開けます。夢を語るだけでなく、それを実現するための「設計図」をしっかり描けるなら、ぜひ恐れずに挑戦してほしいと思います。その準備さえあれば、若チャレはあなたの背中を強力に押してくれるはずです。
前編はこちら:
<OBインタビュー>採択者のその後:前編【八嶋 誠さん】
▼秋田県 若チャレ(若者チャレンジ応援事業)とは:
秋田県を中心とした若い世代の起業や事業創造・事業開発といった夢の実現に向けた取組に、最大400万円の補助金助成や、起業家育成プログラムを提供して支援します。














